サウジアラビアの思い出(13)サウジアラビアの自然(その2)
今井 和彦
Updated 2005/12/2
アラビア半島西側にあるヒジャーズ・アシール山脈の東側には、ナジド高原が広がっています。
ナジド高原は東に行くに連れて低くなり、リヤード付近では標高600m位となっています。
前号で、半島中央部はなだらかな高原の地形であると述べましたが、ナジド高原の東側に沿って、トワイク山脈が南北に約千q連なっています。
トワイク山脈は、標高差50m〜300mの低い丘陵性の山地で、北端はネフド沙漠に、南端はルブ・アルハリ沙漠に没しており、中央部は大きく湾曲し、「く」の字を逆にした形で東へ張り出しています。
リヤードはこの湾曲部に近いところに位置します。
空路を利用すると、岩肌の露出した山脈が大地の皺のように見えます。
この国は写真撮影厳禁のところが多いので、窓からの撮影は避けた方が良さそうです。
山脈の至るところに落差千仞の断層崖が見られます。
リヤード近郊の断層崖、通称The Edge of the world(この地の極み)は有名で、壁立した断層崖が果てしなく続くさま、自然の偉大な造形には、ただ圧倒されます。
断層崖の上から茫漠たる荒野を眼下に一望すると、そこにはWadi(涸れ川)が流れ、湿潤であった遥か遠い昔を偲ばせます。
断崖の縁には安全柵のようなものは一切ありませんので、足を踏み外さないように十分に留意する必要があります。
高所恐怖症でなくとも足が竦みます。
遠い昔、今は山脈となったこの辺り一帯は海底でした。
「この地の極み」では、太古に棲息していた貝類などの化石が地表に露出しており、簡単に見つかります。
真剣に発掘すると、珍しいものや状態の良いものが見つかることでしょう。
半島北部のネフド沙漠や南部のルブ・アルハリ沙漠が形成されたのは、北アフリカのサハラ砂漠と同様に(地球の歴史から見ると)大昔ではありません。
今から1万年以上前の氷河期には、大西洋からの湿った偏西風が、北アフリカからアラビア半島を通り西アジアに吹き抜けており、アラビア半島は植生豊かな湿潤な地域でした。
今ではアフリカでしか見られない大型哺乳類が、草原や湖沼の周りで草を食み、それを狙うライオンなどの肉食獣も棲んでいました。
氷河期が終わって現在に至る第四間氷期に入ると、偏西風の流れが北に移行し、この地域の降雨量が減り、次第に乾燥して行きました。
約6千年前には、現在と同様の気候条件となったといわれていますが、今から2〜3千年前までは、まだ多種多様の動物相があったことが判っています。
アラビア半島の詳細地図を見ると、ルブ・アルハリ沙漠の東部には、多数の塩水湖が湿潤だった頃の痕跡として残っています。
ネフド沙漠やルブ・アルハリ沙漠の砂は鮮やかな煉瓦色で、粒度は細かく良く揃っており、砂時計の砂のようです。
砂の本体は石英粒で、水酸化鉄によって煉瓦色に染められています。
リヤード近郊の通称Red Desert(赤い砂漠)には、家族や友人との行楽に、或いは出張者の案内に何度か出掛けましたが、沙漠には遮るものがなく、いつも強風が吹いているのが難点です。
赤い砂漠でビデオカメラを使っていたところ、微粒の砂がカメラ内部に侵入したのか、突然動かなくなりました。
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